金柑の想い出

こちらでは金柑が庭樹として植えられており、今の時期になると黄色い小さな実が庭先に沢山なっているのを見ることが出来る。たまたま通りかかりの八百屋さんで売っていたので懐かしさにつられて買ってみた。確か五・六歳の頃、珍しくもあることを我慢したご褒美として親が珍しくも買ってくれたもの(あるいは貰いものかも)がなぜだか金柑であり、その小さい果実の名と甘みの記憶が脳に焼き付いてしまったのだろう。ビー玉より少し大きいその実、確かそのまま皮ごと食べられたはずと期待を込めて頬り込むと、確かに甘くはあるが苦味もあり種もありで決して今の柑橘類のように美味しくはなかった。昭和25年頃、まだミカンもそれほど出回っておらず、積雪も多い郷里ではせいぜい柚子が採れるくらいで、こちらはとても酸っぱかったことから、始めて口にした金柑は美味しい果実という記憶が残ったのであろう。ネットで調べると、ジャム(マーマレード)として加工すると美味しく食べられるとあったので、明日は大量に残った金柑のジャム作りに挑戦してみよう。