原発廃止へのステップ

イタリアでは原発に対する国民投票が行われ、90%以上が原発反対票を投じたと伝えられている。福島原発事故の恐怖が大きく影響したことは確かであろうが、某野党議員のようにこのことを原発への集団ヒステリーだと揶揄することは不適切であろう。イタリアはエネルギー資源に乏しく、また海に囲まれ、火山国であるなど日本との共通点が多く、この選択には賛辞を送りたい。当の日本では原発の存廃を論議する前に福島の事故対応が当面の最優先課題であることは当然であるが、事故対応そのものが原発の存廃にかかわることでもあり、浜岡に止まらず、早急に全廃へのステップを現実的、科学的に論拠に基づいて進めなければならない。原発の稼働期間は僅か四、五十年であるが、その廃炉や廃棄物の処理には数千、数万年単位の期間が必要であり、そのことは原子炉を推進する立場から十分な説明が意図的に避けて押し通されてきた。日本では自然エネルギーへの転換には限界があるだろうが、政府の方針として、風力・太陽光・地熱・バイオマス・水力など小規模ローカル発電や海洋エネルギー開発(メタンハイドレート潮汐・海流・波浪)なども含めたあらゆる可能性への挑戦を保証する環境創りに取り組むべきと考える。