シェールガス、シェールオイルの未来

地下深くの頁岩(シェール)層に天然ガス原油が含まれていることはかなり以前から知られていたが、これまで商業的に取り出す技術がなかった。ところが、近年これらのエネルギー資源を取り出す技術が米国で開発され、20年後には米国の産油量が世界第1位になり、同様に天然ガスも大幅に生産量が増加すると予測されエネルギー革命を起こすとている。日本でも採掘に成功したことが報道されたが、残念ながら埋蔵量は僅かであるという。中国もアメリカとの技術協力により採掘に乗り出すようである。ただ、採掘コストが高く、大規模採掘でも1バレル当たり80ドル相当になるという。もう一つの問題は環境問題であり、多量の水と化学物質を注入することから環境負荷が大きく、実際に採掘現場近くでは水道の蛇口からガスが噴出し、地下水の汚染や地震の誘発などの問題が指摘されている。シェールガスシェールオイルの埋蔵量は現在の世界の年間消費量の100〜200年分に達すると見積もられ、天然ガス原油の生産が中近東やロシアなどに偏在し、地政学的なリスクにさらされている現状からすれば、このような新たなエネルギー資源の可能性は価格の安定化やリスク緩和に役立つことになる。その一方で、再生可能エネルギーの開発推進力の減退にもつながり、また採掘コストが高いことからシェールエネルギー革命などといわれるほどにインパクトが大きいものになるのであろうか。