中国の到達点

中国(共産党)のトップが胡錦濤国家主席から習近平副主席に交代するという。
新指導部の方針が大きく変化するとは予想されていないようだが、経済活動が余りにも大きく躍進しただけに、さまざまな問題が山積しているようだ。中でも日本との関係でいえば尖閣諸島をめぐる対立とそれによる経済面への影響に大きな関心が寄せられている。新しい指導部も海洋強国による海洋権益の獲得を国家戦略に掲げているところから、対応を誤ればさらに深刻化することになる。ことの発端は石原都知事の動きと野田総理の対応の稚拙さが中国を必要以上に刺激したことは否めない。沖縄が返還された際、島嶼部までもっと明確に既定されていれば、ことは起きなかったのではないだろうか。米中関係の深い結びつきを考えると米国としては当然のことながら直接的な関わりは避けたいことは明白である。尖閣に限らず、南シナ海におけるベトナム、フィリピンなどにたいしても無理が通れば道理引っ込む主義の強硬な姿勢は国際的な舞台においても大国となった中国の利益に決して繋がらないと思うのだが。中国の経済的な発展はは、勿論、訒小平の改革開放路線がきっかけであり、国家指導体制のもと安くて豊富な労働力を動員して世界市場に進出できたことがきっかけであった。しかし、共産党一党支配のもとの改革開放経済の矛盾が、いたるところで噴出している。党幹部の賄賂や経済格差の拡大、情報統制に対する人民、特に若年層の不満は、毛沢東時代への回帰を掲げるまでに鬱積しているようだ。中国は一レアメタルなど一部の資源をのぞいて、決して資源大国ではなく、外交戦略によってその供給を国外がに大きく依存し、一次産品も輸入によって賄っていることから、よほど内需の拡大が伴なはない限り経済成長の限界は目に見えているように思われる。そのためには格差是正による富の再分配がどこまで進むかが13億の民を抱える中国の到達点を決めるのではないだろうか。