火種を撒き散らすトランプ

トランプがまた新たな脅威を中東にもたらした。イスラエルの首都はエルサレレムであると決定し、アメリカ大使館をエルサレムに移す作業に入った。早速イスラエルは大歓迎で謝意をあらわしているが、当然のようにイスラム諸国は猛然と反発している。フランスもドイツも国連も即刻反対声明を出している。イスラム教、ユダヤ教キリスト教の世界3大宗教の聖地のエルサレムは、イスラエルパレスチナ間の和平の象徴的な存在である。それぞれがギリギリの合意を見せる、危険な存在であり触れてはならない危うさを秘めている。微妙な問題をいとも簡単に決定した背景には、ほとんど実績を上げられない諸政策へのあせりや支持者への選挙公約をアピールする単純な狙いがあるのだろうし、勿論トランプは国内のユダヤ系の支持者を意識したものである。
メキシコとの国境に壁を作る、建築費はメキシコに負わせる。CO2排泄と温暖化や異常気象との関係はないとCOPを離脱する。石炭の採掘を始める。選挙の時に思いついて言ったこと、利権を持つ人たちの声は支持と引き換えに聞く。アメリカファーストと言えば国内的な支持があり、政権基盤は安定するというのであろうが、史上最悪の支持率を更新し続けているトランプである。自らの支持母体への返礼をしたのであろうが、国際的に解決不能な問題に新たな火をつけたことになる。今もなおISの脅威が続く最中、新たなイスラム諸国の反発や中東危機を処理する能力がどれほどの人物に期待できるであろうか。