過ぎゆく日々

在職中は日々必須の所用や目先の明確な目標があったが、退職したその日からこれらがなくなくなってしまった。以来およそ一年半が経過し、世の中から隔離されたような日々を送っている。外界と交わる事によって生じる感情の起伏もほとんどなくなり、平坦で穏やかな毎日をやり過ごせること自体、私の性分にはあっているのか、思ったほどそれは苦痛にはならないことも分かった。一日に為すべきことを前日や朝になって考え、一日誰とも言葉を交わすこともなく、過ぎゆく日々がむしろ心地よいとすら感じている。一方では、退職後も積極的に社会と関わって社会に貢献し、自らも生き甲斐とする過ごし方が第二の人生の模範のように推奨されている。私の場合は、社会参加はしなくとも身辺家事をこなし、これまで出来なかった体力と健康維持のための運動や読書、庭いじりなどを楽しむことでができた。来年4月からはこの地を離れ、育休明けで共働きの事情になる息子夫婦の孫育てを手伝う事になるので、今の生活はあと少しで終わることになるのは正直、少々残念でもある。