牛肉の放射能汚染

福島原発事故で汚染された稲ワラを与えられ、基準値を超えるセシウムに汚染された肉牛が全国の30以上の都府県に流通し、すでに消費されているものもかなりになると云う。稲ワラは昨年秋に収穫されるが、保管場所をとるため、屋外で保管されるものもある。3月12日以降の放射能のホールアウトで汚染され、それが肉牛農家に流通して給与されたものらしい。農家の人は恐らく何の疑いもなく給与したであろうし、稲ワラを販売した農家も原発から離れていた地域であったため、そこまで気お使うことがなかったであろう。野菜や牛乳ばかりに気を取られて、担当者も気が回らずチェックしなかったのであろう。ただ悔やまれるのは、原発からの放射能汚染の状況が、一般には2週間以上殆ど知らされず、原発から30キロ以上も離れた地域でホットスポットがいたるところに分布していたことが分かっていたのか、分からなかったのか私にはわからない。ただ白河市など80キロも離れている場所でも基準値以上の稲ワラが飼料として流通している。チェルノブイリ事故では2,000キロも離れたフィンランドで苔を食べているトナカイから高濃度の放射能が検出されていたことなどの情報は関係者なら十分に知っているはずであり、関東各地でも下水汚泥から高濃度のセシウムが検出されていることと併せ、広範囲の汚染がおきていたことが、5月の時点で分かっていたことでもあり、対応の遅れは否めない。
牛肉の摂取量は個人差が大きいが、汚染された牛肉を摂取しないに越したことはない。たとえ2,000ベクレル程度の稲ワラが何日間、どの程度の量を給与されたかは分からないが、その肉が1000ベクレル程度に汚染されていることをみれば、大部分は2日以内に排泄されるものの、相当程度が吸収蓄積されることがあきらがであり、ヒトでも同様の内部被ばくが起こることを示している。軽微であるとは云え、今回の原発事故がいかに深刻であったか改めて認識せざるを得ない。