節電キャンペーン

原発事故を受け、東電・東北電の電力不足が懸念されてきたが、さらに再稼働の延期やストレステストの混乱で北海道を除く全国に波及し、マスコミを動員した節電キャンペーンが大々的に繰り広げられている。企業はもとより、多くの従順な国民は、多分相当に意識してできる範囲の努力をしていることがうかがわれるが、震災後の電力会社、政府と国民の信頼関係が心もとない状況なだけにいまひとつ疑念がぬぐい去れないと感じている人も多いのではないだろうか。供給可能電力を低めに見積もって電力不足の危機感をことさら煽り、原発の推進や休止炉の早期再開を目論でいるのではないかという疑念である。そもそもの電力不足の原因は、これまで推進してきた原発推進政策と直接的には震災事故にあり、原発への過度の依存と電力買取り制限などを行ってきたことが背景にある。昨年の猛暑での最大消費電力の記録更新、温室効果ガス削減、燃料価格の高騰、オール電化、夜間電力使用の奨励などいずれも原発推進を前提としたキャンペーンに組み込まれてきた。それが原発事故後は急遽、節電キャンペーンの嵐である。確かに常日頃の節電意識は大切であり、多くの国民は協力している。それ以上に大切なことは、近い将来の電力供給をどのようにすべきか、そのための、施策、技術開発、投資などをあらゆる分野を結集して議論し、道筋をしめすことが重要であると思うのだ。