原発は本当に必要か

暑さ寒さも彼岸までのことわざ通りやっと秋風が吹き始め、めっきり涼しくなった。今夏は本番前から電力不足が懸念され、節電キャンペーンの嵐であったので、何とか乗り切れてほっとする半面、実際のところどれぐらいの電力供給の逼迫があったのか、またこれからもどの程度の不足が予想されるのかも正直のところよくわからない。一部には原発再稼働のために仕組まれたキャンペーンであるかのような声すら聞かれる。確か最大消費電力に対する供給電力の割合は、東北電力原発なしで95%まかなえたし、東京電力でも92%を上回ることはなかったように思う。日本はすでに人口減少期に転じ、また、現在の生活習慣を一層省エネ社会に仕向けることによって、当面は化石エネルギーに依存せざるを得ないにしても、再生可能エネルギーを拡大することで原発は10〜15年までには全廃することができるのではないだろうか。いや、政府はそのような脱原発の明確な方向性、その具体的アクションプランを示すべき状況にあると思っている。原発撤退は大きな経済的損失となり日本の国際競争力をさらに低下させるとする批判はどこまで根拠のあるものであろうか。むしろ、新産業創出のための新たなニーズを発掘し、国土資源や地域の活性化につながるのではないだろうか。地域自立の方向は、大都市圏への一極集中を緩和し、大災害にも強い日本を創りだすことの備えにもなると思う。軟弱な地盤の上に高さを競う高層ビル、埋め立てによって拡大する臨海地帯、網の目のように走る狭小道路、地下鉄、地下街、立て込んだ住宅地などいずれも技術のもとに自然を征服しているように思われるが、自然の猛威、それに輪をかける人災も加わってどれほどの安全性が保障されているのであろうか。出来ることなら今すぐにでもこの都市部を脱出し、地方に帰りたい。