悲観論

世界人口が70億に達し、なお毎年7千万も増加しているという。確か、中学生の頃、世界人口は32億と習った記憶があるが、以来半世紀で倍以上になったことになる。現在人口が増加している地域はほとんどがアフリカ諸国であり、それら多くの国は食糧が不足している地域でもある。貧乏人の子沢山というが、まさに人口増加と食糧不足は一体であり、10億人もの飢餓がある。他方、先進国では過剰摂取による肥満、健康害が蔓延し、世界の食糧をめぐる不均衡は拡大するばかりである。日本はと言えば、すでに食料自給率が40%に低下し、なおかつ世界の食料価格の上昇を円高で吸収し、食料不足の兆候に多くの国民は気づいていない。それどころか政府は輸出産業の生き残りには、TPPを推進するのが得策だとしている。本当に環太平洋地域の貿易自由化によって輸出が伸びるという確信があるのだろうか。今、日本が取るべき政策は大震災の復興であり、大都市の防災対策、農林水産業や新エネルギー開発への投資など内需拡大策や産業空洞化の抑制ではないだろうか。千兆円もの国債は外国からの借金ではなく実質的な国民の財産なのだからギリシャやスペインなどの債務国とは事情が違っている。このところの政府の対応は目先ばかりであり、財政健全化を掲げた増税論に終始し、ずるずると深みに陥っていくような悲観論に満ちている。こんな時だからこそ内需を拡大、地域活性化を見通した先見性のあるビジョンを示してもらいたいものだ。