日本の子供の貧困

日本では子供の6人に1人、つまり305万人が貧困であり、先進20カ国中の上位からアメリカ、スペイン、イタリアに次いで4番目に高いという信じられないような実態である。これは、相対的貧困率すなわち社会の標準的な所得の半分以下しかない世帯を相対的貧困と定義し、具体的には2人世帯で176万円以下以下の年収の家庭の子供の割合であるという。貧困というとどうしても着るものもなく、食事もできない状況を想像するが、先進国では貧困の状況が今や大きく違ってきている。家庭には普通にテレビがあり、ゲーム機で遊んでいる子供たちではあるのだが、この所得水準以下だといわゆる平均的な普通の日常生活が満足にできない水準であり、それは教育や医療などに大きく影響しているという。自分が子供であった昭和20年代は生活レベルからいえば現在の最貧層以下の日常生活が当たり前であったが、それは殆どの国民がそう云う状況であり、開発途上国の貧困と同様に現在と比較できるものではない。この現在の状況の大きな問題点は、少子化の中でこのような貧困が進行していることであり、さらに言えば貧困の世代間連鎖につながることにあると思われる。この連鎖を断ち切るには景気を刺激して収入や雇用を拡大することが基本的に重要ではあるが、社会保障や税制などの社会政策に大きな役割があると思われる。現在進められている財政や福祉政策で、消費税率10%の引き上げが、本当にこう言った問題を解決してくれるとは全く思えないし、むしろ逆行するのではないかとさえ思われる。消費税率25%のデンマークでは国民の多くが高負担と思っていないという。教育は大学まで無償であり、医療費も無償であるという。日本では高福祉、高負担は馴染まない社会政策なのであろうか。